「オンラインカジノの経営って、儲かるらしい…」そんな話が広まったのは、仮想通貨が話題になり始めた頃からだったと思う。

SNSでも「月収◯◯万!リスクゼロで運営できます!」なんて甘い言葉を見かけることが増えた。

確かに、リアルな店舗を持たずともネット上で完結できる。

設備投資も不要で、グレーゾーンの外資系ライセンスを取得すれば、表向き合法っぽく見せることもできる。

けれど本当にそんなに簡単に回るのだろうか?

答えはNOだ。

外から見えない部分に、泥臭い現実がいくつも積み上がっている。

オンラインカジノ経営に群がる人たち

本気でやろうとする人間は案外少ない。

多くは「儲かりそうだから始めてみたい」というノリだ。

出資者や技術者とつながって、「運営側になれば勝ち組だ」なんて口にする。

でも実態は、表から見える派手さとはまるで違う。

システムはどこで作るのか、誰に管理を委託するのか、サポート体制は?

ライセンス取得はどこの国?

このあたりをしっかり設計せずにスタートする人間は驚くほど多い。

そして、ほとんどは立ち上げ前か、立ち上げてから半年以内に消えていく。

一番の理由は“思ったより儲からない”という現実。

顧客をつけるためには広告が必要で、これがとにかく高い。

Googleは当然NG、SNSも規制が厳しい。

結果、インフルエンサーへの依存が強まり、運営側がコントロールできない形で広がっていく。

その不安定さを資金力のないプレイヤーが耐えられるわけがない。

法律との戦いが日常になる

表向き「海外ライセンスで合法です」と謳っていても、日本国内からの集客を狙った時点でアウトに近い。

実際、摘発されるのはプレイヤーだけじゃない。

運営者側も広告や紹介、アフィリエイトを通じて検挙されるケースが増えている。

最初は気軽に始めたつもりでも、いざユーザーがつき始めると、目立ちたくなる。

収益が上がれば生活水準も変わり、自分を“大物経営者”のように演出したくなる。

それが落とし穴だ。

目立てば当然、目をつけられる。

どれだけ「合法風」に取り繕っても、法律が変わればその瞬間から違法になる。

特に日本はまだオンラインギャンブルへの理解が浅く、風当たりも強い。

実際に会ったある運営者は、摘発されてからすっかり別人のようになっていた。

多額の罰金と社会的信用の崩壊で、誰も助けてくれない。

やっていたこと自体が“アウト”と見なされたら、すべての言い訳は無意味になる。

見えていないコストが山ほどある

利益率の高さだけが語られがちだが、経営の現場には地味で重たい仕事が山ほどある。

トラブル対応、ユーザーからのクレーム、決済エラー、詐欺対策、ボーナスの不正利用、プログラムの不具合……どれも一つ間違えれば損失につながる。

しかも、カジノプレイヤーの多くは一筋縄ではいかない。

大量ベットでサーバーを壊すような無茶な使い方をする人、オンラインカジノの入金不要ボーナスだけ狙って数百回アカウントを作るグループ、クレジット決済後にチャージバックを狙う者もいる。

理不尽に見えるかもしれないが、それが現実だ。

それらのリスクに対応するには、優秀なスタッフとセキュリティ体制が不可欠になる。

でも、そこに投資できる体力を持つ人間は少ないからこそ、表舞台に残れる運営者はごくわずかになるのだ。